安易な動画マニュアルの弊害

 

なぜ動画マニュアルを見てもらえないのか?

「動画マニュアルなんて難しく考えることないよ」なんて言っている人がいますが、果たしてそうでしょうか?

そもそも動画マニュアルは、見て面白いものではありません。ゼロとは言いませんが、たいていのものは、見ていてドキドキ、ワクワクもなければ、感動シーンもありません。動画マニュアルは仕事を覚えるためのものですから、ドラマや映画とは違うのです。だから、動画マニュアル自体を見ることを楽しみにしてくれていたり、待ち遠しく思ってくれているなんていうことは、まずありません。

何が言いたいかというと、動画マニュアルなんて、誰も見たいとは思ってはいないということです。あっ、もちろん、暇な人は別です。することがないから、暇つぶしに見るかもしれません。でも、大抵の人は忙しいんです。仕事に追われています。もし動画マニュアルを見なくても自分の仕事を短時間で苦労なく覚えられ、トラブルなく仕事が進むのであれば、動画マニュアルなんて見ません。でも、そんなに簡単にいかないから、仕方なく見るんです。これが動画マニュアルの前提です。

企業として動画マニュアルを導入した頃は、その新鮮さもあって見る人も多いのでしょうが、慣れてくると見るのが面倒になってきます。見てもしょうがないもの、見る価値がないものは、見なくなります。なぜなら、見ることが時間のムダだからです。見ても役に立たないからです。さらに言えば、見るのが苦痛だからです。

 

下手な動画マニュアルは見てもらえない

例えば、
・単に撮影しただけで、何を説明しているのかよくわからない
・内容が複雑で何回も見ないと理解できない
・やたら長くて、見終わるのに時間がかかる

まあ、こんな動画マニュアルだったら、誰も見ませんね。だから、見なくても仕事は我流でやっちゃいます。怒られなきゃ、トラブルにならなきゃ、見なくたって平気です。要するに、下手な動画マニュアルは見られないということです。

そうなると、作るほうからすれば「見られないのに作っても仕方ないよな~」となって、動画マニュアルを作らなくなります。さらに、指導者たちは「動画マニュアルなんて役に立たないよね。やっぱりOJTがいちばんいいな」となり、現場を経験させるだけの「なんちゃってOJT」が横行します。その結果、指導のばらつき、品質低下という元の悩みに戻ってしまいますね。

 

強引な運用はモチベーションにも影響

中には「せっかく作ったのに見ないなんて許せない」なんて人もいて、「絶対見ろよ」などと言って、見ることをルール化したりします。見ないことで評価を下げたりします。そうすると、現場の人たちは仕方なく、動画マニュアルを見たり、活用しているふりをします。役に立たない動画マニュアルを見なきゃいけないので、モチベーションが下がります。その結果、生産性が下がります。

これが動画マニュアルに失敗する典型的なパターンです。実際に「動画マニュアルなんて適当に撮影すればよい」なんて安易な考えで取り組んだ結果、このような悲劇が起こってしまった企業は少なくありません。

動画マニュアルを過度に難しく考える必要はありませんが、やるからには、最低限「見てわかりやすい」ものを作るように心がけたいですね。


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